画像診断について

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CT・MRI

CT

CTの仕組み

CTはX線を使って患者様の体内を観察する検査法です。CTの内部にはX線管が備わっており、回転しながらX線を照射することができます。照射されたX線は、人体の構造に応じて様々な程度で吸収されたのち、検出器というX線を受け取る部分に入りデータとして取得されます。1方向からX線を照射する2次元的な単純X線写真(いわゆるレントゲン写真)と異なり、回転しながらX線を照射するCTでは3次元的な画像データを取得することができます。このため、前後・左右・上下の関係が分かりやすく、患者様の病気の診断や治療法の選択にとても有用な検査です。

千葉大学医学部附属病院のCT

2021年より千葉大学医学部附属病院では新中央診療棟が造設されました。これに伴って256列1台、64列3台の合計4台の新しいCTが導入され、このうち2台はdual energy CTとなっています。Dual energy CTではガントリが回転する間に高速で管電圧を切り替えることで、2種類の異なるX線エネルギー情報を取得することができます。これによって仮想的に任意のX線エネルギーを画像化することができ、コントラストの向上やアーチファクトの低減から、より診断に適した画像を得ることが可能となっています。また、dual energy CTではエネルギー特性から特定の物質を強調あるいは抑制して画像化することができます。これを応用して、病変の性状をより詳細に検討することができ、他にも病変検出の向上や仮想単色X線画像の作成など、多くの臨床応用が可能です。

dual energy CT.JPG

CTの被ばく

X線を照射する以上、CTを撮影した患者様には医療被ばくが生じますが、近年では機械の高性能化や画像再構成法といった技術の発展によって、画質を保ちつつ被ばく量を低減することが可能となってきています。新しいCTには線量の自動調整機構やdeep learningを利用した画像再構成など、最新の撮像技術が実装されており、これまで以上に低被ばく、「人に優しい検査」が提供可能となります。また、放射線科医が検査内容を事前に確認し、撮像の範囲やタイミングを患者様毎に決定します。診療放射線技師と密に連携し、適切な検査を最小限の医療被ばくで施行できるような体制となっています。

CT検査を終えたあと

検査後には、画像解析に精通した診療放射線技師あるいは画像診断医の手によって適切な画像がすみやかに作成されます。病気や人体の構造がより直観的に把握できるようになり、診断だけでなく患者様への説明や術前計画に非常に役立っています。

千葉大学医学部附属病院では、CT室に隣接して放射線診断医が常駐する読影室があります。診断医はCT検査終了後に画像の読影を行い、検査依頼をした医師に対し読影報告書を作成しています。重要な画像所見がある場合には特別に注意を促すシステムが存在し、場合によっては直接電話連絡をすることもあります。また、重要所見に対して臨床医がアクションを起こしたかをチェックする体制も備わっています。画像所見の伝達不備から患者様が不利益を被ることがないよう、何重ものチェック体制が構築されています。

報告書内容の質を保つため、放射線診断専門医の資格を持つ上級医師が資格未取得の放射線科医師や研修医を指導する体制をとっています。また、放射線診断専門医は各々がサブスペシャリティを有しており、各科とのカンファレンス、コンサルトを通じて、より専門性の高い検査、読影を行っています。


MRI

MRIの仕組み

MRIは強力な磁石による磁場と電波を使って、患者様の体内を観察し病気を診断する検査法です。人体を構成する原子核は、磁気と共鳴して信号を発生します(核磁気共鳴現象)。この信号をとらえ画像化することにより、人体内部の構造を観察します。

MRIの特徴

MRIでは核磁気共鳴現象に特有のパラメータを、色々な具合に調整して撮影することができます。この調整により、まるで様々な調味料の配合をした料理を作るように、正常な部分と異常な部分を区別しやすい画像や、造影剤を使用せずに血液の流れを見る画像など、多種多様な画像を得ることができます。縦、横、斜めなど人体の任意の断面を画像化でき、3次元的な画像の取得も可能です。また、単なる構造の把握のみならず、最近では機能画像を得ることもできるようになっています。X線を使用しないので放射線による被ばくもありません。

MRI・環境照明.jpg

一方で、一般的にCTと比較し時間がかかる、検査中に大きな音が聞こえる、体動によって画質が影響を受けやすいなどの欠点があります。また、強力な磁場をもちいるため、検査室への金属の持ち込み禁止などMRIならではの制限や注意事項があります。

千葉大学医学部附属病院のMRI

千葉大学医学部附属病院では3テスラが2台、1.5テスラが3台の超伝導磁場装置が稼動しています。特に3テスラ装置では高い信号雑音比を生かした高分解能撮影が達成され、指の関節のような微細な構造の評価に有用です。また、撮影方法の進歩によって高速撮影化が進んでおり、肝臓のように呼吸による動きの強い臓器でも、1回の息止めで1回の撮影を完了することが可能です。さらに、全国に先駆けた特殊な撮影方法を用いることによって、従来は評価困難とされていた腱や靭帯、神経を視覚化することができ、これらの損傷はある程度評価できるようになってきました。その他様々な臨床研究を行っていて、今後の医療の発展に貢献するように日々努力しています。

MRI検査を終えた後

CTと同様に、検査後には診療放射線技師の手によって画像の再構成や調整が行われます。

MRI室にも隣接して放射線診断医が常駐する読影室があり、得られた画像を読影し検査依頼をした医師への報告書を作成しています。重要所見を確実に検査依頼医師に伝えるシステムはCTと同様です。MRIの撮影方法が複雑化していく中で、十分な情報量を得られる撮影方法のレシピを、診療放射線技師とともに常に検討しています。検査を撮像している最中にも放射線診断医が画像をチェックし、適切な撮像方法を追加することもあります。これらの努力により、質の高い検査が提供できています。